曇りでよかった、と祖母は言いました|95歳と行った、角島の日帰りドライブ

曇り空の下に伸びる角島大橋と、エメラルドグリーンの海(山口県下関市) コラム

こんにちは、新潟在住・50代主婦のレアかおです。

今年の冬、父を見送りました。

それから、祖母との距離が近くなりました。

そして夏の帰省で、95歳の祖母と山口の角島まで日帰りドライブに行ってきました。

前日まで、行く予定はありませんでした。

この記事でお伝えするのは、この3つです。

  • 前日は乗り気でなかった祖母が、当日の朝に「行ってみようかね」と言ったこと
  • 疲れのサインが出たのは、出発から3時間14分後だったこと
  • 曇りでよかった、と祖母が言ったこと

連れて行ってあげたい。でも、体力がもつだろうか。

わたしも、そう思っていました。

うまくいったことも、うっかりしたことも、そのままお伝えします。


前日まで、行く予定ではありませんでした

前日の祖母は、乗り気ではありませんでした。

翌日はわたしの帰省の最終日。

家でゆっくりして、近所のスーパーに買い物にでも行こうか。

そのくらいのつもりでいました。

でも当日の朝、時間に余裕がありそうだったので、声をかけてみたんです。

「時間もあるけ、ちょっと角島までドライブに行ってみる?」

そうしたら、「行ってみようかね」と。

そこから身支度をして、すぐに出発しました。

レアかお
レアかお

えっ、行くの。

いちばん驚いたのは、たぶんわたしでした。

ここで気づいたことがあります。

予定を決めすぎなかったから、行けたということです。

前日に「明日は角島に行くからね」と決めていたら、おそらく中止になっていました。

95歳との外出は、その日の朝の様子で決める。

この日いちばんの学びでした。

ただ、まったくの思いつきだったわけでもありません。

帰省する前から、LINEのビデオ通話で何度か角島の話をしていました。

角島は、祖母もわたしも行ったことがない場所です。

種はまいておいて、決めるのは当日の朝。

この組み合わせが、うまくいきました。


出発前に、わたしがしたこと

先に、祖母の状態をお伝えします。

ここを書かないと、そのまま参考にはならないと思うので。

祖母は95歳の割に元気で、車の乗り降りは自分でできます。

わたしがしたのは、荷物を持つくらいです。

体の状態は、人によってまったく違います。

「うちの祖母はこのくらいでした」という前提として読んでいただけたらと思います。

持っていったのは、この5つです。

  • 杖
  • サングラス(車内の日差し用)
  • 帽子
  • 水筒
  • 簡易トイレ

このなかで、いちばん役に立ったのは簡易トイレです。

使わなかったのに、です。

あるとわかっているだけで、迷わず出発できました。

何かあっても何とかなる。

そう思えるかどうかで、ハンドルを握る気持ちがまったく違いました。

レアかお
レアかお

使わないほうがいいものほど、持っていく価値があるのかもしれません。

座席は、後部座席です。

これは今回に限ったことではありません。

2人で買い物に行くときも、祖母は必ず後ろに乗ります。

父が乗せていたころから、ずっとそうでした。

理由を聞いたことはないのですが、たぶん、そのほうが気楽なのだと思います。

シートベルトをするのも、意外と面倒なものですし。

後ろの席なら、途中で腰がつらくなっても体を倒せます。

助手席のほうが親切とは、かぎらないんですね。


途中の道の駅で、26分すごしました

自宅から角島大橋までは、止まらずに走れば1時間半ほど。

なかなかの距離です。

途中で寄ったのが、道の駅きくがわでした。

着いたのは出発から38分後。そこで26分すごしています。

トイレ休憩のつもりでしたが、それだけでは終わりませんでした。

地元の農産物やお土産が並んでいて、祖母はそれを見てまわっていました。

車を降りて、少し歩いて、知らないものを眺める。

リフレッシュになったようでした。

あとで振り返って、少し驚きました。

この休憩は、角島大橋を眺めていた時間より長かったんです。

目的地に着くための休憩ではなくて、休憩そのものが、もうひとつの目的地になっていました。

道の駅きくがわの入り口

車を降りて、すぐそこに角島大橋がありました

角島大橋を見るなら、展望台に登るものだと思っていました。

でも今回は、登っていません。

停めたのは、橋の手前にある海士ヶ瀬公園です。

駐車場から、もう橋が見えました。坂も階段もありません。

海士ヶ瀬公園の駐車場から見た角島大橋
駐車場から撮りました。展望台には登っていません。

祖母は、そこでしっかりと景色を眺めていました。

駐車場から角島大橋を眺める祖母の後ろ姿

わたしはそのあいだに、ひとりで少し先まで歩いてみました。

もっとよく見える場所があるんじゃないかと思ったんです。

でも、景色はそれほど変わりませんでした。

その先には横断歩道があって、渡った向こうに展望台の階段がちらりと見えました。

横断歩道の手前から見た角島大橋
少し先まで歩いて撮りました。景色は、ほとんど変わりません。

この違いなら、ここまで来る必要はない。

そう思って、引き返しました。

登らないと決めていたわけではありません。

歩ける距離なら、登ってみてもいいと思っていました。

ただ、自分の足で行ってみて、これは難しいと分かったんです。

海士ヶ瀬公園にいたのは、10分ほどでした。

高齢の家族と出かけるとき、いちばん削りたいのは歩く距離です。

絶景の手前に階段があるだけで、その絶景はなかったことになってしまいます。

決めておくのではなく、先に自分が歩いて確かめる。

これが、この日いちばん効いた段取りでした。


瓦そばを1人前だけ頼んだら、足りませんでした

お昼は角島大橋を渡って、瓦そばたかせ 角島岬店に入りました。

11時ちょうど、開店と同時です。

Googleマップに「ランチに人気」と出ていたので、混む前に入っておきたかったのですが、これは結果的に正解でした。

車も、お店のいちばん近くに停められました。

そして、入り口でひとつ、うっかりがありました。

正面には段差があって、脇に手すりが2本ついています。

祖母はその段差を上がりました。手すりは使っていません。

レアかお
レアかお

無事に上がれたので、そのときは何とも思っていませんでした。

翌日、自分の撮った写真を見返していて気づいたのですが、入り口の右側にスロープがありました。

そのときは、まったく気づいていませんでした。

段差しかないと思い込んで、そのまま上がっていたんです。

入り口に着いたら、まわりを一度見る。

当たり前のことですが、当日は「早く座らせてあげたい」で頭がいっぱいになります。

瓦そばたかせ角島岬店の入り口。正面の段差と手すり、右側のスロープ

中に入ると、椅子席でした。配膳もしていただけます。

頼んだのは、瓦そば1人前。それを2人で分けました。

高齢の方に1人前はたいてい多いので、お店の方に「2人で分けてもいいですか」と聞いてから、そうしました。

快く応じていただけました。

瓦そばたかせ角島岬店の瓦そば1人前

食べ終えて、祖母が言いました。

「おいしかった。でも、ちょっと足りんかったね」

祖母は、食べ終わるといつも「おいしかった」と言います。

今回は、そのあとに一言つきました。

多いだろうと思っていたら、分けると今度は少なかった。

わたしも同じでした。

でも、これがよかったんです。

行く前から、わかめソフトクリームという名物があると口コミで見ていて、「食べに行こうね」と話していました。

お腹に余裕ができたので、そのままフレッシュしおかぜの里へ。

ここは、ソフトクリームはテイクアウトのようでした。

でも席が空いていたので、聞いてみたんです。

「ここで食べていても大丈夫ですか」

「いいですよ」

それで、店内のテーブルでいただきました。

祖母が頼んだのはワカメ、わたしはワカメミックスにしました。

祖母は、おいしそうに食べていました。

フレッシュしおかぜの里のワカメミックス(ソフトクリーム)
わたしが選んだのは、ワカメとバニラのミックスでした。

入り口には、スロープがあります。

この日、お店に声をかけたのは2回でした。

瓦そばを2人で分けていいか。ここで食べていいか。

どちらも、快く応じていただけました。

決まりだから無理だろうと思っても、聞いてみるだけなら、こちらは何も失いません。


わたしがずっと見ていたのは、時計でした

気にしていたのは、景色でも食事でもなく、時計でした。

時刻場所
8:46自宅を出発
9:24〜9:50道の駅きくがわ
10:40〜10:50海士ヶ瀬公園から角島大橋を眺める
11:00〜11:30角島大橋を渡って、瓦そばたかせでお昼
11:35〜12:00フレッシュしおかぜの里でわかめソフト
13:30ごろいつものスーパーで買い物
14:10ごろ帰宅

トイレ休憩は2回とりました。

出発から38分後に1回、その1時間45分後にもう1回です。

どちらも洋式トイレを使いました。

多目的トイレがあったかどうかは確認していないので、そこはお伝えできません。

トイレのために止まったのではなく、止まったところで必ず済ませておく。

結果として、そういう回り方になっていました。

そして、そろそろ疲れたかなと感じたのが12時ごろ。

出発から3時間14分後でした。

ここから、逆算できることがあります。

疲れが出るまでが約3時間なら、目的地は片道1時間半くらいまでが、無理のないところになります。

行きに1時間半、現地で1時間半で、ちょうど3時間です。

角島は片道1時間半。結果として、ちょうどそのくらいでした。

ただ、大事なのはここからです。

疲れが出た12時の時点で、帰宅まではまだ2時間ありました。

帰りの時間まで含めて、計画する

疲れは、帰り着いたときに出るわけではありません。

まだ移動が残っている途中で出ます。

目的地までの時間ではなく、帰宅までの往復で考えておくと、当日がぐんと楽になります。

移動は合計で約3時間10分、角島にいたのは1時間20分。

移動のほうが2倍以上長い1日でした。

レアかお
レアかお

それでも、行ってよかったと思っています。


帰り道こそ、段取りでした

「寝ちょってね」と声をかけたのですが、祖母は起きている様子でした。

帰り道は、行きよりも段取りが要る時間でした。

わたしがしたのは、この3つです。

来た道を、そのまま戻りました。

遠回りに見えて、これが正解でした。

行きに見た景色をもう一度通るので、「この風車、見たね」と話ができます。

道の駅の近くを通るときに、こちらから「トイレ、大丈夫?」と声をかけました。

自分からは言い出しにくいことだろうと思って。

見慣れた風景が見えてきたら、「ここ、どこかわかる?」と話しました。

もうすぐ家だ、と伝わります。

なるべく飽きないように過ごしてもらう。

帰り道は消化試合ではなくて、いちばん気を配った時間でした。

そして地元まで戻ってきたら、いつものスーパーに寄って、買い物をしてから帰りました。

遠くまで行った日を、いつもの買い物で終える。

特別な一日が、そのまま日常につながります。

家に着いたのは14時10分ごろ。

祖母はそのあと、少しお昼寝をしていました。


わたしが見せたかったのは、青い海でした

その日は、曇りでした。

角島の海といえば、あの青さです。

わたしは祖母に、あの青い海を見せてあげたいと思っていました。

でも曇り空で、想像していたほどの青さは見られませんでした。

少し残念に思っていたら、祖母がこう言いました。

「暑すぎんでよかったね。曇っちょってよかった」

わたしは、景色の質を気にしていました。

祖母が喜んでいたのは、体が楽だったことでした。

感じていたものが、違ったんです。

「絶景を見せてあげたい」は、もしかすると、わたしの願望だったのかもしれません。

95歳の祖母にとっては、涼しくて過ごしやすい日のほうが、ずっとよかった。

曇りは失敗ではなくて、幸運でした。

こちらが思う「よい日」と、本人にとっての「よい日」は違う。

夕方になって、撮ってきた写真を一緒に見ました。祖母は、うれしそうにしていました。

そのあと、ふと見たら。

祖母は、自分の手帳に、今日行ったところを書いていました。

ここで、またお会いしましょう。🌸

この記事を書いた人
レアかお

新潟在住の50代主婦。転勤族として関東各地とジャカルタで暮らしてきました。ハワイ20回以上・バリ島11回、ゴルフ歴約11年。バリ島・バンコク・オアフ島・ハワイ島でのゴルフも経験。50代夫婦の旅と暮らしを、実体験をもとに正直に発信しています。

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